排水管について

今回は、一般住宅における「排水管」について書いてみたいと思います。

なお、分かりやすさを重視で書いていますので、

  • 厳密には言えば違う
  • 正式名称ではない
  • 地域によって呼び方が違う

などがあるかもしれませんがご了承下さい。

排水管とは?

生活する上で「水」が必要な事を説明する必要はないかと思います。

台所・トイレ・洗面所・浴室 あらゆる場面、場所で人は「水」を使います。

その水をその辺に垂れ流しにすると、匂いや雑菌が繁殖し衛生的に良くありません。

そこで、それら使い終わった「水」を集め、流すのが「排水」です。

「排水」が流れる管を「排水管」と呼びます。

排水の種類について

人間が生活する上で排出する排水は大きく2種類に分けられます。

一つはトイレなどの屎尿(しにょう)を含む排水、これを「汚水」と呼びます。(屎尿について:Wikipedia)

もう一つは台所や洗面、洗濯、浴室などの屎尿を含まない排水、これを「雑排水」と呼びます。

雨水について

人が排出する以外の排水として、雨水があります。

屋根などに取り付けてある雨どいから雨水を集め、雨水専用の配管を通り排出します。

雨水と区別する時には、「汚水」「雑排水」を併せて「汚水」と呼び、雨水と区別する事もあります。また、それらを併せて「下水」と呼びます。

合流・分流について

敷地内から道路に排水を排出する時に、汚水と雨水を分けて排出する事を分流式、
分けずに一つの配管で排出する事を合流式と言います。(参考:国土交通省 下水道施設の構成)

排水が流れる仕組み

水道管は上水施設から供給される際に、圧力をかけて供給されています。
つまり、水道管が昇ったり下ったりしても水圧に影響はあるものの、一定の高さまでは蛇口をひねれば水が問題なく出ます。

対して、排水管は排水管自体を斜めに下り勾配をつけて自然の重力の力のみで排水します。

例えば一戸建てのお宅の一番上流側の排水の深さと、一番下流側(道路側)の排水の深さでは場合によっては1m近く違う場合もあります。

一般住宅の勾配について

必要な勾配は配管の太さや排水用途によっても変わりますが、概ね1%~2%です。

つまり、1m進むごとに1cm~2cm深くなります。

下水管の勾配イメージ図

排水が詰まる原因

排水が詰まる原因には大きく二つの原因に分けられます。

一つは、トイレ、台所、洗面、浴室などの器具側(器具内)での詰まり。

もう一つは上記で説明したような下水管の詰まりです。

器具側での詰まりの原因

トイレ、台所、洗面、浴室など住居内には多くの種類の水回りがあります。

詰まりの原因は、その一つ一つにより違うので全てを説明する事は出来ないのですが、代表的な原因とその修理方法を書き出します。

トイレ

  • ペーパーの使い過ぎによる詰まり
    →重症度:軽 修理方法:ポンプ作業
  • 異物を落とした・流してしまった場合の詰まり
    →重症度:中 修理方法:便器の取り外し、異物除去

台所

  • 長年の汚れの蓄積による詰まり
    →重症度:軽 修理方法:ポンプ作業
  • 長年の油の蓄積による詰まり
    →重症度:軽~中 修理方法:ポンプ作業、薬剤洗浄

洗面・浴室・洗濯

  • 汚れや髪の毛、服の繊維などのゴミの蓄積による詰まり
    重症度:軽 修理方法:ポンプ作業、排水トラップ掃除

下水管の詰まり

上記で説明したように、器具側が原因の詰まりの場合にはほとんどの場合重症度は高くなく、
簡単な修理作業で終わる事が多いですが、対して下水管が原因の詰まりの場合には、少し大がかりになる場合があります。

汚れや油による詰まり

管内に長年の汚れや油が蓄積する事が原因で起こる詰まりです。

マンションなどの共同住宅の場合には1~2年に一回排水管の掃除を行いますが、一戸建ての場合にはほとんど掃除した事がない方が多いのが実情です。

重症度:中 修理方法:トーラー作業、高圧洗浄

植物の根が侵入しての詰まり

管内や点検用の排水マスの中に植物の根が入り、それが成長して管内を塞ぎ、起こる詰まりです。

現在は排水マスは塩ビで作る事が主流ですが、20年以上前に建てられたお宅の場合、コンクリート製の排水マスが使用されています。事実上根が入り込む隙間の無い塩ビ製に比べて、コンクリート製の場合、どうしても隙間が出来てしまうのでそこから根が入り込みます。

重症度:中~高 修理方法:トーラー作業、高圧洗浄、根の除去、排水マスの補修もしくは塩ビ製マスへの交換

勾配が狂う事による詰まり

これが原因の詰まりが一番やっかいだと思います。
応急的な修理はそこまで難しくないのですが、根本的な解決をしないとすぐにまた詰まってしまいます。

上記でも説明しましたが、排水管には勾配がついております。1%~2%の勾配が標準の為、少しの地盤沈下でその勾配が無くなったり、場合によっては逆勾配になってしまいます。

イラストで説明致します。
これが上記で説明した正常な状態です。

 

「敷地内下水管」と説明してある管の真ん中ほど(B地点)で配管が沈んだとします。

 

グレーの管が標準、オレンジの管が異常が起きた状態です。

B地点が沈み込み、BからCが逆勾配になっています。

この状態で使用しているとどうなるでしょうか。常にB地点に水が溜まり、ここに油汚れや汚物が溜まっていき、詰まります。

管内を高圧洗浄などでキレイにすれば、とりあえずは使えるようにはなります。しかし勾配は狂ったままなので、また近い将来必ず詰まります。

これを直す為にはどうすればいいかと言うと、A地点からC地点まで全て掘り起こして配管をし直さなくては根本的には直りません。

B地点が沈んだんだからB地点の配管だけ上げればいいのでは?と、よくお客様からも言われるのですが、この状態でB地点だけを標準の深さまで上げるとこうなります。

沈んだB地点だけを無理やり標準の高さに直しても、別の箇所で勾配が狂います。

先ほどよりは多少はマシにはなるかもしれませんが、完全に直ったとは言えません。

これがB地点の沈み込みが原因なのに、A地点からC地点まで直さなくてはいけない理由です。

重症度:高 修理方法:排水管、排水マスのやり替え